研究室

発生エピジェネティクス研究チーム

チームリーダー
平谷 伊智朗(Ph.D.)

発生・分化に伴う染色体高次構造変化のメカニズムと意義を探る

条件的へテロクロマチンとは、発生過程のある時期に凝縮・不活性化されてその状態が以後安定維持される染色体領域とその染色体高次構造のことを指します。その代表例である哺乳類雌の不活性X染色体はマウス初期胚で三胚葉形成直前の時期に初めて観察され、その後全ての体細胞でエピジェネティックに安定維持されます。最近我々は、同じ時期に全ゲノム配列の6%強に相当する多数の常染色体領域もヘテロクロマチン化され、以後その状態が安定的に維持されることを見出しました。すなわち、この時期の条件的ヘテロクロマチン形成はX染色体にとどまらないゲノムワイドな現象である可能性が示唆されました。我々は、この時期の染色体高次構造制御のしくみを理解することが細胞分化の本質の理解につながるとの考えから、その分子機構の解明を目指しています。

研究テーマ

1. 細胞分化に伴うゲノム高次構造変化の解析
2. 不活性X染色体の高次構造解析
3. ゲノム高次構造の制御機構

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S期においてDNA複製タイミングが遅いゲノム領域(赤)は核膜や核小体周辺に、早いゲノム領域(緑)はそれ以外の細胞核内部に、ほぼ相互排他的に配置されている。この関係性は哺乳類細胞で普遍的に保存されている。ゆえに、DNA複製タイミングのゲノムワイドマップ(背景のグラフ)から、個別の染色体領域の3次元空間配置をDNA配列レベルである程度推定することが可能である。
ES細胞分化に伴うDNA複製タイミング変化をゲノムワイドに観察することで、分化に伴い高次構造を大きく変化させる染色体領域を推定することが可能である。
マウス胚発生のエピブラストに相当する時期を挟んで染色体高次構造が大きく変化することが電子顕微鏡観察で明らかになった(左写真がエピブラスト以前、右写真が以後)。これはゲノムワイドDNA複製タイミング解析からの予測と良い一致を示す。
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