条件的へテロクロマチンとは、発生過程のある時期に凝縮・不活性化されてその状態が以後安定維持される染色体領域とその染色体高次構造のことを指します。その代表例である哺乳類雌の不活性X染色体はマウス初期胚で三胚葉形成直前の時期に初めて観察され、その後全ての体細胞でエピジェネティックに安定維持されます。最近我々は、同じ時期に全ゲノム配列の6%強に相当する多数の常染色体領域もヘテロクロマチン化され、以後その状態が安定的に維持されることを見出しました。すなわち、この時期の条件的ヘテロクロマチン形成はX染色体にとどまらないゲノムワイドな現象である可能性が示唆されました。我々は、この時期の染色体高次構造制御のしくみを理解することが細胞分化の本質の理解につながるとの考えから、その分子機構の解明を目指しています。
1. 細胞分化に伴うゲノム高次構造変化の解析
2. 不活性X染色体の高次構造解析
3. ゲノム高次構造の制御機構