研究室

ヒト器官形成研究チーム

チームリーダー
髙里 実(Ph.D.)

ヒト多能性幹細胞の分化誘導系でヒト器官発生を再現する

ヒト多能性幹細胞を用いた再生医療研究の究極の目標とはなんでしょうか。私は、試験管内でヒト多能性幹細胞を分化誘導し、任意の臓器を完全な形で創り上げることが、その究極的な目標の一つであると考えています。これまでに、私たちはヒト多能性幹細胞から中間中胚葉を分化誘導し、そこから糸球体、尿細管、集合管、血管、間質組織を内包する腎臓オルガノイドを作りました。しかし、サイズや構造的複雑性、成熟度の点から実際のヒト腎臓と比較すると、腎臓オルガノイドはまだまだ未完成品であると言わざるを得ません。
当研究室では、この腎臓オルガノイドの作製系をブラッシュアップし、将来的に移植可能なレベルの3次元腎臓組織を試験管内で構築することを目指します。また、私たちの持つ中胚葉・腎臓誘導系は実際の個体発生をモデルとしており、ヒト発生学を研究する魅力的なツールとなり得ます。 ヒト多能性幹細胞から腎臓細胞までの分化誘導過程には、マウス発生学では説明できない現象もあります。分化誘導過程の細胞の挙動を試験管内で詳しく観察することで、ヒトの中胚葉系臓器や腎臓の発生メカニズムを解明し、これをヒト発生学へフィードバックすることを目指します。

研究テーマ

1. 移植可能な腎臓オルガノイドの作製
2. ヒト多能性幹細胞から中胚葉組織への分化制御メカニズムの解明
3. 腎臓オルガノイドをプラットフォームとしたヒト腎臓発生学

Q:研究の最大の魅力は何ですか?

A:日々の発見はすべて、人類の未知が既知になる瞬間。知の開拓史の最先端にいることが実感できる。

Q:研究をする上での方針や哲学、座右の銘は何ですか?

A:迷った時は基本に立ち返る

Q:研究室の特徴を一言で表すと?

A:Research First

Q:研究以外の興味や趣味はありますか?

A:歴史、博物館訪問、週末の料理

minoru.takasato[at]riken.jp
[at]を@に変えてメールしてください

求人

ヒトiPS細胞から作製した腎臓オルガノイド:ネフロン前駆細胞(赤)と集合管前駆細胞(黄と水色)の両方が存在する。尿細管(黄のみ)も発生している。
腎臓オルガノイドを下から上へと スキャンした動画。集合管(緑と黄)、遠位尿細管(黄のみ)、近位尿細管(赤)、糸球体(緑のみ)の連続した腎構造が確認できる。
腎臓の発生過程(図はマウス):原始線条は前方および後方中間中胚葉へと分化する。その後、前方はウォルフ管から尿管芽へ、後方は後腎間葉へと分化し、尿管芽と後腎間葉の相互作用により腎臓が発生する。ヒトiPS細胞を分化させ、この2つの中間中胚葉を作り分けることができる。
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